目次
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みんなのとんかつソース開発プロジェクトとは?
マクドナルドは、これまで、ハンバーガーメニューを自社の開発者だけで作ってきました。
今回は、「一般のお客様と一緒にメニューを作ってみよう!」というマクドナルドとしての初めての試みです。
集められた開発会議のメンバーで、期間限定で販売された「とんかつマックバーガー」の新しいソースを作る。お客様と“共創”する。
それが「みんなのとんかつソース開発プロジェクト」です。
開発会議の出席メンバー
- 日本マクドナルドの本プロジェクト代表者とメニュー開発者、店舗で働くクルー代表
- ハンバーガー好きブロガーや味覚コンサルタント等の外部ブレーン
- ソース製造業者の「カゴメ株式会社」と「キユーピー株式会社」の担当者
- 一般公募で各年代(20~50代)の男女計15名
一般公募は抽選
一般メンバーの応募は、2014年6月2日~6月8日という短い期間の中で行われました。
それでも応募総数は約3,000以上集まり、その中から、厳正なる抽選で各年代(20~50代)の男女計15名が選ばれました。
参加者の私はどんな人?
普段は、ウェブサービスを作っている会社で、ウェブサイトを作る仕事をしています。
料理や食に関しては、どこかで習った経験はありませんが、休日になると、あまり家庭で作らないような料理を手探りで作ってみては、料理ブログで公開しております。
一般人の目線でありのままをリポート!
この「みんなのソース開発プロジェクト」は、私のような食に関する職に就いていない人間でも、マクドナルドが発売するハンバーガーメニューに関われるというすごい企画です。
前例の無い今回のプロジェクトの様子や思ったことを、ありのまま伝えて、多くの方に興味を持ってもらいたいということで、記事にまとめてみました。
第1回 新ソース開発会議
最初の開発会議が開催されたのは、6月15日の日曜日。
ワールドカップ日本の初戦が行われていた日に、第1回目の開発会議が開催されました。
集合場所へ到着
主婦や学生、会社員から事業主まで、幅広い職業の男女が全国から集まりました。
会場へはバスで移動しましたが、バスに乗るあたりから、すでにテレビや雑誌のメディア取材が始まっているという状況。
メディアの数からも、このプロジェクトに対するマクドナルドの真剣さが伝わってきました。
参加者自己紹介
用意されたバスに揺られながら、都内某所にあるマクドナルドの研究施設に到着しました。
普通の部屋かと思ったら、中は普通のマクドナルドでビックリ。
今回のプロジェクトに関する説明をひと通り受けてから、やってきました自己紹介。
「一番好きなマクドナルドのハンバーガーを紹介」というお題付きでした。
報道陣が集まる物々しい雰囲気に飲み込まれ、頭の中が真っ白な状態での自己紹介でしたが、みなさん、変化球で昔のキャンペーン商品だったり、朝マックだったり、を紹介されていて、目の付け所が面白かった!
私はというと、「ビッグマックが好きで、再現にトライしましたが、難しくてできませんでした。」といったへっぽこ自己紹介になってしまいました。
まぁ、それはそれでいいのです。あとは、ハンバーガーを食べまくって好き勝手な意見を言うだけだな、と胸をなでおろしておりましたが、そんなことはなかったのでした。
というわけで、試食会場へ移動。
10種類のとんかつバーガーソース
このプロジェクトに応募する際に、「食べてみたい」「開発したい」と思う新ソースを140文字以内で入力する項目がありました。
会場では、そこに入力された、みんなのソースに対する意見をまとめたうえで、10種類のソースがすでに試作されておりました。
ちなみに、私が応募した開発したいソースは、シンプルな「塩ダレ」。
とんかつは塩で食べることが多く、塩が一番美味しい食べ方だと思っているので、「ポテトもソースにつければ2度美味しい!」といったような内容を送りました。
しかし、今回用意されたソースにはそれっぽいのがない!
というわけで、シンプルな塩ダレを応募したことは忘れて、気持ちを切り替えて、みんなの意見が反映されたソースを更に良くすることに専念することにしました。
試食を開始
ひとつずつ、順番に、開発されたソースがのったとんかつマックバーガーが半分にして配られます。
評価をしながら、最終的に自分の思うベスト5を投票して、全員の得票数を計算し、上位4つのハンバーガーを選ぶのが最初の課題。
開発者の方に教わったアドバイスは、「食べた物を全て飲み込んでしまうと、だんだんソースの味がわからなくなるので、コップにぺっと出したほうがいいですよ。」というもの。
お腹が一杯になると、感じ方がとても変わるので、開発の時はそうしているという事でした。
手元に置いてあったコップには、吐き出した後の目隠しの為に、紙のフタがおいてありました。
そうはいっても、美味しいものは食べたくなっちゃいます。
中には、がっつり食べる強者がいたりと、このあたりからみんなリラックスモードで、とても楽しく試食が進みました。
10種類のソースの感想
用意された10個のソースについて、私の感想を書いてみました。
直感で書いた走り書きのメモなので、変な言葉遣いである事はご容赦ください。
ソース名の隣には、自分の付けたソースに対する点数が書いてあります。
とんかつソース 7点
とんかつ屋にきた感じ。普通にうまい。でも冷めると辛いかも。
自分ならとんかつ屋にいくかもしれない。
定番の味だからうまい。でもマクドナルドらしさが無い。
焙煎ごまソース 3点
濃くておいしい。でも濃すぎるかも。
後味が濃すぎる。ごまの味が美味しいねー、というより、濃い!という印象。
焙煎胡麻カツソース 4点
ラーメン?なんのだしだろう。
魚介系ラーメンのような。。そう、これはとんかつを食べているのにラーメンを食べた気分になる奇跡。
ローストオニオンデミグラスソース 3点
酸味が強すぎる。
手を加えすぎなのではないだろうか。シンプルにしたほうが美味しいのではないのかという印象。
焙煎ゴマ味噌ソース 4点
味噌が強すぎるかも。
そう、これは味噌バーガーだ。濃すぎる気がする。味噌は加減が難しい。
焦がし醤油ソース 5点
香りが強くて食欲をそそる。
ポテトにも合いそう!ポテトやナゲットのソースとして発売希望。
ガーリックの強さが男性向けだとおもった。
社会人は匂いが気になるかも。
香味野菜ソース 2点
きのこの味が強い。どこかで食べた味。
そう、これは、中華まんだ。ヤマザキの。
もみじおろしソース 7点
塩味おいしい。やっぱ塩味いいね。
ゆずの味がしっかりついている。けど、レモンも食べてみたい。
酸味があるので、辛味はいらないかも。そういえば、おろしを感じなかった気がする。
黒酢玉ねぎソース 4点
酢豚っぽい。
あれだ、とんかつ屋のキャベツにかけるドレッシングっぽい。なんとなく、これはマクドナルドの定番にはならない気がする。
しょうがクリーミーソース 8点
おいしい。あれ、チキン竜田?豚だけど。これはクリームだからそう感じたのか。
しょうがの風味がしっかりしている。けど強すぎる気もする。後味がしつこいような。
とんかつ屋には絶対にないソースでおもしろい。
私のつけた順位と投票結果の順位
私が付けた順位
- しょうがクリーミーソース
- とんかつソース
- もみじおろしソース
- 焦がし醤油ソース
- 焙煎胡麻カツソース
みんなの投票を集計した順位
- もみじおろしソース
- しょうがクリーミーソース
- 焦がし醤油ソース
- ローストオニオンデミグラスソース
少しばらつきがあるものの、納得の行く結果となりました!
チーム分けで改善方法を探す!
集計後は、グループディスカッションを行いました。
「もみじおろしソース」と「ローストオニオンデミグラスソース」を改善するAチームと、
「しょうがクリーミーソース」と「焦がし醤油ソース」を改善するBチーム、2つのチームに分かれて議論をしました。
私は、しょうがクリーミーソースを1位にしたので、Bチームに参加です。
Bチームの班長(リーダー)は、味覚コンサルタントのKさんです。
意見をまとめるのが上手で優れた班長が、みんなの意見をきちんと拾い上げて、しっかりと改善案をまとめてくれました。
しょうがクリーミーソースを選んだ理由
応募した時は、塩味を推薦していた私だったので、途中まで、もみじおろしソースを1位に選ぼうと思っていました。
それでもあえて、しょうがクリーミーソースを1位に選んだのは、おいしかったのと、「とんかつ屋には絶対にないソースでおもしろい。」という理由からでした。
プレゼンテーションをしました
先ほどの4つの商品の改善案に加えて、さらに各チームがその場で考えた、新しいソースのアイディアを1つずつ出し合いました。
そうして、まとめられた6つのソースの意見を、マクドナルドの開発担当者や、ソース開発者、参加者に対して共有をする為にプレゼンをしました。
私は、しょうがクリーミーソースについて、プレゼンをしました。
プレゼンと言っても、チームでまとめた内容を話すだけです。メディアの前で!
ソースの名前を変えたほうがいいだとか、チキンタツタっぽいとか、ソースが緩すぎるとか。実際はもっとしっかり改善点をまとめて伝えましたよ!
しかし、プレゼンの後には、本当はこう言いたかった、という想いがでてくるものですね。
ここは次の会議に向けての重要な部分だったので、もっと準備の時間が欲しかった気もします。というのは言い訳ですが、とても充実した経験でした!
自己紹介とプレゼンテーションが、1回目の開発会議の緊張したポイントでした。
さいごにメディアの個別取材
最後に、週刊誌やテレビ番組からの個別取材がありました。
とある週刊誌の取材では、開発会議に対する感想がスラスラでてきた自分にびっくりでした。頭の片隅で感じていたことが、話しているうちに、クリアになっていきました。
そのワケは、記者の方々の聞き方が上手だったからですね。さすがです。
1回目の開発会議を終えて思ったこと
取材を受けた時に話しながら思ったことを書き出してみると、次の会議での自分が考えるべき課題がわかってきました。
提示された3つの課題について
試食前に、マクドナルドのメニューづくりにおいて、次の3つの課題が与えられていました。
- 幅広いお客様に喜んで頂けるソース
- 季節によらず、何度でも楽しんで頂けるソース
- マクドナルドらしい、他にはない何かが感じられるソース
つまり、てりやきマックバーガーのような「ど定番」を作ることが目標です。
この3つの課題をしっかり意識して、もう一度振り返ってみたいと思います。
幅広い年齢層がターゲット
課題の中で、「幅広い年齢層がターゲット」というのが、一番難しい部分でした。
今回、20代から50代まで幅広い年齢層が集まりました。
グループディスカッションをしていても、「広いターゲット層」という課題はとても難しくて、意見の一致が本当にできるのか?と疑問に思う瞬間が何度かありました。
味が特殊なソースを作れば、必ずその味が、好きな人と嫌いな人がでてきますので、おのずとシンプルなソースを意識してしまうし、子供から大人まで!というキーワードを意識すると、迷路にはまってしまいます。
飽きのこない味
飽きのこない味といえば、やはりここでもシンプルなソースを思い浮かべてしまいますが、用意されたソースは、定番のとんかつソースを除けば、どれも個性的なソースでした。
飽きという課題をクリアするのには、現状のソースから引き算をして答えを見つけるのもありかもしれないなと思いました。
マクドナルドでとんかつを食べる理由
シンプル、シンプルって!シンプルに逃げてばかりの自分と戦います。
欲しいのは、マクドナルドの”とんかつ”を食べる理由です。
とんかつが食べたくなったらとんかつ屋に行けばいいのかというと、そんなことはないはずです。
では、どんな人がとんかつ屋に行かないのだろうか。
そうだ、子連れの主婦、若い女性などは、定食屋に入りづらいのではないでしょうか。
とんかつが食べたい時にとんかつ屋に入りづらい人でも、「気軽にとんかつが食べられるマックって素敵!」みたいな。
「とんかつを食べたい!マックならドライブスルーでとんかつが食べられる!」みたいな。
こうした、マクドナルドでとんかつが食べるといった理由が欲しいところです。
マクドナルドじゃないとダメだという理由
次に、とんかつ屋ではなく、マクドナルドじゃないとダメだという理由も考えたいなと思います。
「とんかつが食べたいなら、とんかつ屋に行けばいいじゃん!」という人たちにどうやってアプローチするか。
ここでは、開発会議の中でも話していた、とんかつ屋に無いソースというのがヒントになるかもしれません。
心強いことに、カゴメさんや、キユーピーさんという日本を代表するソース開発会社が、開発を担当します。マクドナルドでしか食べられないオリジナルのソースを作ってくれます。
しかし、ここで問題に気づきます。
私個人的にはとんかつ屋では、塩で食べると決めています。
塩にハズレは無く、それが一番美味しい食べ方だと思っているからです。
つまり、塩で食べたいとか、とんかつをソースで食べたいといった、とんかつに対して決まった食べ方があるにも関わらず、それでもマクドナルドのとんかつが食べたい!という圧倒的な理由を探さねばなりません。めちゃくちゃ美味ければいいという話でもないんですよね。きっと。
ほんと考え過ぎですね!
そりゃー考えますとも。無い頭で精一杯考えますとも!だって、マクドナルドのソース開発に関わっているんですよ!自分達が考えた商品が全国に販売されるかもしれないのです!
こんな感じで、時間が経てば経つほどに、ソース開発を考えているのが、どんどん楽しくなってくるのでした。
次回の開発会議に向けて
2回目の開発会議に向けて、自分に問いかける課題ができあがりました。
- とんかつ屋に無いソースか?
- わりと万人にうけるソースか?
- 子供でも食べられるソースか?
- マクドナルドのとんかつが食べたい理由は?
全部の課題を完璧に満たすのは難しいですが、参加者の目指すところはみんな同じで、「おいしいハンバーガーが食べたい」という想いです。
広い世代の、色々な職業のメンバーによる試食やディスカッションで、間違いなく、前に進んでいると思います。
私は、30代としての素直な意見を発言していきたいと思います。
次回は、今回の会議で出た意見を元に、さらに改良されたソースが6つ作られてきます。
どんな開発会議になるのかとても楽しみです。
第2回新ソース開発会議
1週間後の6月22日(日)、開発会議2日目です。
前回と同じ待ち合わせ場所に集合して、マクドナルドの研究施設へ向かいました。
研究施設に入ると、前回同様、報道陣の数が多く、心なしか、前回より現場の緊張感が増していた気がしました。
プロジェクトにかける思い
まずはじめに、メニュー開発担当者からのお話です。
この会議で目指すソースの基準を振り返り、再確認をしました。
- 幅広いお客様に喜んで頂けるソース
- 季節によらず、何度でも楽しんで頂けるソース
- マクドナルドらしい、他にはない何かが感じられるソース
言うなれば、キャンペーンで終わらない、マクドナルドの定番商品を作りたいということ。
集まったメンバーは、この基準をしっかり意識して、いざ、試食へ進むのでした。
今日の目的
今日の目的は、みんなで意見を出し合って出来上がった、6つのソースの中から、とんかつマックバーガーとして、提供される2つのソースを選ぶこと。
今後の流れ
この開発会議のあとの流れですが、今日選ばれた2つのソースと、一度とんかつマックバーガーとして発売されていた、「野菜すりおろしソース」を合わせた、合計3つのとんかつマックバーガーで、テスト販売をします。
このテスト販売で、最も人気があった、とんかつマックバーガーが、新商品として全国のマクドナルドで年内には販売されるとのことです。
テスト販売の詳細はまだわかりませんが、今日選ぶ2つのとんかつマックバーガーは、確実に1度はマクドナルドの商品となるのです。す、すごい。
リクエストしていた2つソース
というわけで、前回リクエストしていたソースの試食からスタートしました。
新しくリクエストしていたソースはこちらの2つ。
Aチームは、ねぎ塩ソース
Bチームは、ごまかつソース
それぞれの味で2つずつ用意されていました!
まずは、それぞれのチームが考案したソースを責任を持って、1つにしぼるという試食を行いました。
私はBチームで、ごまかつソースを提案しておりましたので、2種類のごまかつソースを食べ比べしました。
さて、リクエストしていたソースはどんな味になったのでしょうか。
でも、ごまのソースは前回落選していた!?
試食の前に振り返りましょう。
実は、1日目の開発会議の試食会でも、ゴマの風味を活かしたソースがすでにありました。
・焙煎ごまソース
・焙煎胡麻カツソース
しかし、その味はとても味が濃かったり、ラーメンを食べているような不思議な味であったりと、投票の結果、2つのごまソースは、当初は上位4つの改善ソースに残りませんでした。
しかし、定番のソースが選択肢に残らないのは、選択の幅を狭めることになるのでは?といった意見もあり、奇抜なソースだけではなく、いわゆる定番のソースも含めて、次回の開発会議では議論に加えようということで、ゴマの風味を活かした、ウスターソースを残した経緯がありました。
その際のリクエストとして、白ゴマではなく、黒ゴマの風味を活かしたソース。
海のうま味ではなく、山のうま味で表現して欲しいといったリクエストを出しておりました。
2つのごまソースの特徴
開発して頂いた、2つのごまソースの特徴をみると、
・黒ゴマの風味が食欲をそそるとんかつソース
・フルーティーな甘さを感じるとんかつソース
といった印象でした。
フルーティーな甘さのあるソースは、美味しいのですが、あまり特別感が感じられない味で、パンに染みこんだソースがまったりとしていて、口の中に入れた瞬間にソースパン!という感じのソースでした。
そして、もう一方の、黒ゴマの風味を活かして作られたソースは、リクエスト以上の出来上がりだったのです。
黒ゴマの風味が活かされた絶妙なソース
私が試食した時に、残してあったメモはこちらです。
黒ゴマの香ばしさという風味がいい。黒ゴマってこんなに美味しいのか。
少し甘いのに、甘すぎなくて調度良い味加減、
ソースの量が多いのにしつこくない。
しつこくないからなのか、冷えても食べられるハンバーガーである。
キャベツとの絡みがよくて、とんかつと合う。
そして、このメモに書いてあるような内容で、ごまかつソースのプレゼンをさせて頂きました。
最も伝えたかったことは、マクドナルドらしい商品であるということ。
テリヤキマックバーガーの甘みのように、このとんかつマックバーガーのソースも、甘いのに甘すぎないという絶妙な配合なのです。
この「万人受けするバランスの良さ」が「マクドナルドらしい」と思った部分であるということです。
改善ソースの試食
次に、Aチームのリクエストで作られた「ねぎ塩ソース」と、前回から改善された4つのソースを試食します。
試食の感想を書いたメモで様子をご紹介します。走り書きなので読みづらさはご容赦ください。
ねぎ塩ソース
香りがあっさりしていて、美味しそうな風味。
食べてみると、ねぎ塩、タン塩ダレのソースのような。
全部食べると、しょっぱい後味が口に残ってしまう。
塩キャベツ、焼肉屋といったキーワードが残り、マクドナルドらしさが少し足りない気がした。
香りおろしソース
なぜだろう、チキンナゲットの匂いがした。
ゆずの香り、塩感がおいしい。
やはり、とんかつは塩が美味しい。
食べた後トウガラシが舌に残るのが辛いかも。
そうだ、チキンに合うイメージ
コクまろジンジャーソース(旧名:しょうがクリーミーソース)
なんかこの味マックらしい。
前回の課題だった、チキン竜田感からの脱却がうまくできていた。
生姜のピリピリ感がなくなって、クリーミーになっている。
タルタルソースのような質感がおいしい。
マヨネーズの安心感。
とんかつが美味しく感じる。
焦がし醤油ソース
ニンニクの強さがやはり気になる。
子供にきつそうな味、重いかなー。
醤油感に違和感がある。口の中が少しピリッと残った。
好き嫌いがはっきりする味かなと思う。
ローストオニオンデミグラスソース
洋食屋さんの匂い。
パン粉のサクサクに合うかが課題点。
ハンバーグにチーズ、玉ねぎと最高じゃないですか。
デミグラバーガーとして発売してほしいレベル。
隣の女性の評価メモをちらり。とても丁寧!!
発売されていた「野菜すりおろしソース」も試食
あと、前回のキャンペーンで売り出されていた、とんかつマックバーガーのソースである、おろし野菜ソースも食べてみました。
さすが、まとまっていて、安定感のある味だという印象。普通にうまい。
試食を重ねてきた中では、この現行のソースは、おろしということもあり、香りおろしソースに近い印象がありました。
代表の2つのソースを選ぶ
ここで、席をシャッフルです。
新しい2つのチームにわかれて、ディスカッションの開始です。
それぞれのグループで、1位と2位のソースを選びます。
それからお互いの意見をぶつけあい、2つの代表ソースを決定するというのが目的です。
チームごとに、色々な年代がいて、色々な味覚で、熱い議論をかわしていきます。
この議論では、自分は良いと思っていたソースが、他人にはそうでもないということが、わりとカジュアルにでてきました。
反対意見の理由の中に、重大なヒントが隠れていたりと、ここでの意見の出し合いはとても興味深い内容でした。
そんな中、それぞれの意見の内容を確認しあっていくと、評価の高いソースは3つに絞られていきました。
- ごまかつソース
- コクまろジンジャーソース
- ローストオニオンデミグラスソース
コクまろジンジャーソース
その中でも、コクまろジンジャーソースは、全員が美味しいと言ったソースで、まずは、こちらのチームの1位として確定!
タルタルのようなとろみのある、このホワイトクリーミーソースがとんかつにまさかのベストマッチでした。
コクまろジンジャーという名前はイマイチなので、名前の変更を依頼しようという話になりました。この名前だと、クリーミーなあの味がイメージできないのです。
ごまかつソースとローストオニオンデミグラスソース
次の2位をどうするか。
ごまかつソースとローストオニオンデミグラスソースで悩みました。
まず、ローストオニオンデミグラスソースですが、ソースの完成度がとても高かったです。
玉ねぎの食感とその甘味。ハンバーガー全体を一つにするバランスがとても良いソースといった印象で、このソースのとりこになった参加者も居ました。
多くのメンバーが持った感想としては、洋食屋さんで食べる高級なデミグラスソースハンバーガーの味でとても美味しいので、ぜひ、とんかつではなく、ハンバーグと合わせて、デミグラスバーガーとして食べたいといったものでした。
なので、このデミグラスソースには、いつか別の形で登場してもらいたいなーという話になりました。
というわけで、こちらのチームの2位として確定したのが、ごまかつソースでした。
とんかつとウスターソースなんて定番すぎる!マックらしさはあるのか、その点にとても悩みました。
しかし、この味は実にマクドナルドらしい。
プレゼンでも伝えましたが、テリヤキマックバーガーには、甘いのに、甘すぎず、とてもみんなに愛されているといったクセになる特徴があります。
このごまかつソースも、それと同じような絶妙のバランスのを持ったソースでした。
一度食べて、飽きるのではなく、少し経つと、ついまた食べてしまいたくなる味。
そのなんとも言えない、うま味がこのソースにあったので、それこそがマックらしさなのではないかなということで、候補に確定しました。
代表の2つのソースが決定
2つのチームに別れてディスカッションをしていましたので、2つのチームが選んだ2品をお互いに発表しました。
すると、なんとなんということでしょう、2つのチームの意見が一致しておりました。
1位 コクまろジンジャーソース
2位 ごまかつソース
実は、もう一つのチームも、3位にローストオニオンデミグラスソースを選んでいました。
2つのチームが実は同じ採点をしておりました。
この結果に、みんなビックリしていましたが、やはり美味しいソースは美味しいということで納得です。
- 幅広いお客様に喜んで頂けるソース
- 季節によらず、何度でも楽しんで頂けるソース
- マクドナルドらしい、他にはない何かが感じられるソース
意識し続けた、マクドナルドの考えるソースの基準をある程度クリアできた気がします。
ここで選んだとんかつマックバーガーに加え、現行の野菜すりおろしソースを加えた3つがテスト販売へと進みます。
代表ソース開発秘話
決定のあとに、それぞれのソースについて、苦労した点などをお話して頂いたのですが、その内容が興味深かったです。
コクまろジンジャーソースの開発秘話
とんかつと、生姜を合わせるという組み合わせは初めてのチャレンジだったそうです。
そして、この組み合わせが、とんかつハンバーガーに合うというのは、本当に意外な発見だったとのこと。
まさに、この開発会議で出来上がったオリジナルソースだという印象を持たれたそうです。
ちなみに、名前の変更は、マクドナルドの開発チームにお任せしました。
テスト販売されるときにどんな名前になるのか、楽しみです。
ゴマかつソースの開発秘話
前回の会議で、参加者達が出した、ウスターソースへのリクエストをなにで表現するかとても迷ったとのことです。
その為に、白ゴマと黒ゴマのパーセンテージを10種類以上試したそうで、少しの配合で味はかなり変わるらしいです。開発会議の朝まで調整していたとか!
まさにコダワリの割合で作られた、胡麻の黄金比ソースとのことです。
ちなみに、このようなお話をしている時の報道陣はこんな感じです。
すごい熱気を感じました。
ソース作りに自分は納得できたか?
そして、第一回目の開発会議後に、私が自らに問いかける為に作った質問がありました。
自問自答してみたいと思います。
とんかつ屋に無いソースか?
コクまろジンジャーソース
このホワイトソースをとんかつに合わせるのは、なかなか無いと思いますし、ジンジャーの風味もなかなか珍しいと思います。
しかもなかなか真似できるものではない印象に仕上がっています。
ごまかつソース
私は、勘違いしていたのですが、とんかつ屋にない変化球を狙うということではないということ。
名前だけ聞くと、どこにでもあるソースなのですが、食べてみると「ありそうで無いソース」といった印象を持たれるのではないかなと思います。
わりと万人にうけるソースか?
コクまろジンジャーソース
タルタルソースのような質感のホワイトソースは、色味も綺麗で、女性を中心にわりと広い層に支持されるのではないかと思います。
ごまかつソース
とんかつにソースが合うというのは、イメージ通りだと思います。
しかも、マクドナルドらしい、絶妙な甘みと、黒ゴマの風味が決め手のわりとあっさりとしたソースはクセもなく多くの方に親しんで頂けると思います。
子供でも食べられるソースか?
コクまろジンジャーソース
生姜の香りが子供にとってどうかなというのはありましたが、ジンジャーの辛味は感じませんし、マヨネーズによって、まろやかな味わいとなっております。子供を持つ親達も納得していましたので、食べてもらうのが楽しみです。
ごまかつソース
とんかつ、ソース、ゴマ、この3つが嫌いでなければ、普通に食べていただけると思います。大人になる頃には、このソースの味が忘れられないなんて言ってくれるような味かなと思います。
マクドナルドのとんかつが食べたい理由は?
今回作られた両方のソースに言えることですが、マクドナルドのとんかつマックバーガーが、食べたくなる絶妙な味だからです。
別の言い方をすると、万人に受けられる「安心の味」であるからというのが、感じた理由です。
パンとキャベツとの相性や、甘みやうま味、あっさり感など、絶妙な味のバランスが考えられているソース。
このバランスが、「マクドナルドの味」であり、また食べたくなるような、安心する味なのです。だから食べたくなる理由なのかなと思います。
マクドナルドクルーのお話
マクドナルドの店舗で働いている方々はクルーと呼ばれています。
全国のクルーに、第1回目の会議のあと、どのソースが食べたいか、アンケートをとっていたそうです。
その時のアンケート結果を紹介してくれました。
- 1位 もみじおろしソース
- 2位 焦がし醤油ソース
- 3位 ローストオニオンデミグラスソース
- 4位 しょうがクリーミーソース(コクまろジンジャーソース)
これは、試食しないで、見た目と説明だけでの判断だったそうです。
このアンケートで、最下位だったしょうがクリーミーソース(コクまろジンジャーソース)が今回の開発会議の代表です。
そして、1位だったもみじおろしが落選するとは、びっくりですね。
私達、一般の意見がでなければ、もしかしたら、今回1位で選ばれた「コクまろジンジャーソース」は、テスト販売される商品に選ばれなかったのかもしれません。
しかし、今見てみると、「しょうがクリーミーソース」という名前はとんかつとの味が全く想像できませんね。。
だからやはり、名前は重要だということですね!
開発会議が終わり感動に包まれる
気軽な気持ちで応募した、とんかつマックバーガーのソース開発プロジェクト。
応募は抽選だったので、選ばれることはないだろうと思っていましたが、まさかの当選。
実際に参加してみて、1回目の開発会議がおわり、2回目の開発会議がおわりを迎えようとしている中、思うことがありました。
あれだけの試食をする中で、よくこの2つに決定したなということです。
いろんな議論を重ねました。いろんな世代、地域の参加者が居て、一つの意見に揃うなんて無理なんじゃないかと思うことが何度もありました。
それでも、お互いの意見を尊重し、改善案を出しあい、それにソース開発者が応え、今回の結果に至りました。
満場一致の決定に、こみ上げてくる感動がありました。
メニュー開発担当者も納得
マクドナルドの担当者は、「決まらなくて、もめちゃったらどうしようって思っていました。」とおっしゃっていて、初めての手探りの開発プロジェクトに、マクドナルドのみなさんもドキドキしていたようです。
そんな中、とても美味しいソースをみんなで作ることができたことに、開発の方達も、とても大きな喜びと感動があったとのお話でした。
みんなのとんかつソース研究会 会員認定証
この会の最後に、「みんなのとんかつソース研究会 会員認定証」を頂きました。
頂いた会員認定証はこちら
額に入れて玄関に飾る予定です。
おわりに
マクドナルドが好きな人にとって、マクドナルドはとても近い存在で、その分、新しいハンバーガーに対して、私だったらこうするなーとか、色々言ってみたりするのではないでしょうか。
実は、私がそうなのですが、それが親しみの裏返しであり、マクドナルドに対する期待感だったりします。
そのような一般人が、一つの応募をキッカケに、マクドナルドのメニュー開発へ参加して、議論を重ねた結果の新商品が、実際に販売されるというプロジェクト。
小さな頃からマクドナルドに親しんできた私にとっては、まさに夢のような企画でした。
この会議が終わって感じることは、全国のお客様に食べてもらえるハンバーガーを、マクドナルドの開発の一員として携われる企画を開催してくれたことに対する感謝と、多くの人にこのハンバーガーを食べてもらいたいということ。
この記事で、中の様子や参加者の気持ちが伝わったでしょうか。
少しでも多くの方に、今回の開発過程に興味を持ってもらえれば嬉しいですし、本当に1度食べてもらいたい。そんな気持ちでいっぱいです!
全国大品評会
2014年の8月4日から、5日間の開催!
全国の一部店舗にて、全国大品評会という名前のテスト販売です。
私達が参加した取り組みで生まれた2つのソースと、すでに発売されていた、野菜すりおろしソースの3つのソースで、とんかつマックバーガーを試食して、投票するというものです。
ちなみに、開発したソースの正式な名称は、「ごまかつ」、「まろやかジンジャー」 に決定しました。
どのような投票結果になるのか楽しみです!
品評会初日のお昼。いざ渋谷の渋谷東映プラザ店へ!
このようなセットで、試食をします。
3つのソースの食べ方がトレーに書いてあります。
右上のソースの並び順逆ですね。注意しながら試食します。
渋谷東映プラザ店では、ごまかつが一歩リード!
店内のホワイトボードには、みんなの意見も書かれていました!
5日間が終わって、結果がどのようになるのか。
もし、このままごまかつか、もしくは、まろやかジンジャーが1位になったら、私たちが開発に参加したソースが、本当に全国で販売されることになります。なんという企画だろう。すごすぎる!
品評会の4日目。再度、渋谷東映プラザ店へ!
投票がこのように進んでいました!ごまかつ強し。
2枚目の投票ボードはこちら。
ホワイトボードにも感想がびっしり!
他の地域では、まろやかジンジャーが人気な地域があったりと、投票は最後までわかりません!
どのような結果になるのか楽しみです。
発売発表会に出席!
2014年の10月22日、ついにとんかつマックバーガーのお披露目がされました。
15名の一般代表メンバーの中から、2名の代表メンバーが発表会に呼ばれました。
そのうちの1名に私が選ばれまして、開発の様子などを商品発表会でお話してきました。
30人以上の報道陣の前で、ソース開発の話をしてきました。ものすごい緊張しました。。
そして、決定したソースは、「ごまかつソース!」
研究施設での発表会でしたが、そこにあったメニューボードには、とんかつマックバーガーが入っていました!
キャンペーン商品ではなく、レギュラーメニューとしてです。すごい!
そして発売されました!
2014年10月29日、ついにとんかつマックバーガーが発売されました。
店頭のメニューにも掲載されております。
自分たちが開発に関わることができた商品が、実際に店頭に並んでいる!と今でも信じられないですが、発売されたのです。
発売当日早速購入してみます。
食べてみて、最初の印象はソースの味は甘いですが、甘過ぎない絶妙な味です。ってやはりソースが気になっちゃうわけです。
おわりに
長い記事を読んで頂き、ありがとうございました。
6月15日の初回会議に始まり、10月29日の商品発売となりました。
最初は開発って何をするんだろうというドキドキしていた気持ちも、参加してみて、時間が経つにつれて、発売後は、売れたらいいなーというドキドキ感に変わるのを感じています。
一方で、発売される前までは開発者気分でおりましたが、商品が発売されたら、一般の消費者の気持ちです。
たぶん、関わったのがソースだけで、とんかつやバンズなどトータルで商品を完成させていないからだと思います。
実際に作るクルーの皆さんには、開発時に食べた、あの美味しいとんかつマックバーガーを常に提供して頂ければという気持ちでいっぱいです。
そして、とんかつマックバーガーが好評となれば、「一般のお客様と一緒にメニューを作ってみよう!」というこの企画がまた開催されるかもしれません。
参加してみて強く思いました。一般の消費者の直接のダメだしを元に、改善が繰り返されて作られる、ハンバーガーって悪くない気がするんです。
美味しくなる意見はどんどん反映させてほしいし、何度もチャレンジしてほしい企画だと思いました。
そして、今後、消費者と一緒に作るマクドナルドのメニューの中からてりやきマックバーガーのように、世界に届くようなメニューになったら、それは開発に関わった人間としては、とても楽しいことだと思います。
もちろん、このとんかつマックバーガーがそうなることを願っています。
今後のマクドナルドに期待しています!